福島原発事故とリスクコミュニュケーション

摘要

今回の福島原発事故は，地震·津波被害の結果，全電源喪失による複合産業クライシスであり，感染症のアウトブレイクのような健康クライシスではない。しかし，環境中に大量の放射性物質が放出され，一般住民に対する公衆被ばくという新たな問題は，恐怖と不安，そして不満や不信，更に恨みと怒りを蔓延させた。すなわち，全く無益で無用な被ばくを強いられたという住民すべてが被害者であり，現存被ばく状況下での放射線リスクコミュニュケーションと長期健康対策が不可欠となっている。その意味で，福島県民の健康見守りという重要な健康コミュニュケーション事業が始まっている。