食品凍結技術の進化と未来：3.洗浄操作と食品凍結装置

摘要

近年，食の安全に対する消費者の関心が高まる中，食品を製造する側もこれまで以上に安全対策に力を注いでいる．しかし，食中毒事故に限ってみると，急増した平成10年の年間約3000件を境に減少はしたものの，平成14年には約1800件で約28,000人に健康被害が及hでおり，決して少ないとは言えない発生件数のまま推移している．特に，加工食品への依存·食の外注化が進hだ昨今では，食品加工現場での小さな事故が大規模な健康被害を引き起こす可能性がますます高くなっている．食品の安全性の問題では，食品素材や添加物などの摂食対象自体に目が向けられがちである．しかし，加工食品の安全性確保のためには，加工装置·設備の洗浄と衛生管理にも十分に留意しなければならないのは言うまでもない．本稿では，食品加工工程における汚れの付着とその洗浄除去に関する基礎事項について解説するとともに，食品凍結装置の洗浄に関わる問題点について考えてみたい．