自動車と知的財産：知的財産制度の今日的意味～今、なぜ「知的財産戦略」なのか

摘要

工業所有権法をはじめとする知的財産法の重要性が今ほど叫ばれているときはない。 近年では一般にまでその意識が浸透し、新聞等のマスコミに知的財産に関する記事が載らない日はない。 その最大の理由は情報化にある。21世紀は情報化時代と言われており、今後ますます情報化が進行するであろう。 情報化時代においては、情報の財としての価値が高まる。 しかしモノ（有体物）に比較すると、情報、特にこれからますます重要となるデジタル情報は侵害に対して極めて弱い存在であるために、情報化時代を迎えるにあたり、情報保護法の強化を避けて通ることはできない。 アメリカと比較するならば、わが国はこの情報化に乗り遅れ、しかも従来わが国が強みとしていた「ものつくり」は中国等の追い上げを受け、わが国産業は未曾有の苦境に陥っている。 そして知的財産制度は、疲弊した産業からの脱却のための国家戦略の道具として認識されるようになってきた。