線虫（Caenorhabditis elegans）における乳酸菌及び食品成分の抗老化効果

摘要

平成28年版の厚生労働白書によると，昭和60（1985）年に10.3%だった高齢化率（65 歳以上人口割合）が，平成27（2015）年には26.7%に，2060年には40%に達すると予測されている。一方，平成20（2008）年に1億2808万人のピークを示した人口は減少に転じており，平成60（2048）年には1億人を割り2060年には9000万人を下回る。この高齢化と人口減少の同時進行により生産年齢人口（15-64歳）とその割合は平成4（1992）年の69.8%から減り続けている。1950年には現役世代10 人で1人の高齢者を支えていたが，現在は2.1人で1人，2050年には1.2人で1人を支えることになる。国民医療費も増加の一途をたどっており，平成26年度は40.8兆円，うち14.5兆円（35.6%）が後期高齢者医療費である。2026年頃には65.6兆円となり，人口の約3割を占める高齢者の医療費が医療費全体の7割近くに達するとの推計もある。残り3年で高齢者となる我が身を考えると何とも言い表しようのない複雑な気持ちにさせられる推計値だが，国民の長寿は公衆衛生が本来目指すべき目標であり良いことである。