自動車づくりを支える部品技術 第3回 衝突安全を図る：事例2 衝突の衝撃エネルギーを可変に吸収するステアリングコラム

摘要

自動車のステアリングは操舵をするための装置であり，ドライバーが任意の方向に自動車を走らせるためには不可欠である。 それと同時に，衝突したときにドライバーが受ける衝撃を軽減する機能も持っており，衝撃吸収ステアリングと称される。ステアリングによる衝撃吸収は，ステリングシャフトやステアリングコラム，ステアリング支持部それぞれが変形することで行われる。以下では，衝撃吸収部品としてのステアリングコラムについて簡単に述べる。 ステアリングコラムは，ステアリングホイール（ハンドル）とステアリングギヤの間にある部品であり，ステアリングホイールに加えられた力（トルク）をステアリングギヤに伝達することで車両制御の仲介機能を果たしている。 また，自動車が衝突したときにステアリングコラムが前方（ステアリングギヤ側）に収縮して衝撃エネルギーを吸収することでドライバーの衝撃を軽減する（図1）。 通常，ステアリングコラムは衝撃エネルギーの吸収特性を変えられなかった。つまり，強い衝撃（大きな衝撃エネルギー）でも弱い衝撃（小さな衝撃エネルギー）でも吸収するエネルギーは変わらなかった。富士機工は，このステアリングコラムの衝撃吸収エネルギーを衝撃の強弱によって変えられる「可変エネルギー吸収機構付きステアリングコラム」を開発した。