新たな製品開発のアプローチ - 材料·プロセス選定のためのAshby法と機械設計 第21回 Ashby法と1 DCAEによる設計：基本概念

摘要

先月からAshby法と1DCAEによる設計プロセスを取り上げている。本連載の目的は材料·プロセス選定のためのAshby法を機械設計に適用することにあるが，Ashby法だけでは実際の機械設計に対応するには十分ではない。Ashby法の考え方をベースとし，実際の機械設計の革新を目指した1DCAEと融合することにより，機械設計者が使える環境，仕組み，手法，ツールを提供したいと考えている。Ashby先生も最近はAshby法を工学設計の視点だけでなく，意匠設計（この言葉は誤解を招く言葉ではあるがほかに適切な日本語がない）の視点も取り入れた教育を指向している。エンジニア（工学設計）とデザイナー（意匠設計）をAshby法でつなぐことにより，新たな価値の創出を期待している。この意味でもAshby法と1DCAE の相性は良いと考える。材料·プロセス視点で考えるAshby法，製品開発視点で考える1DCAEと定義することもできる。今回は，Ashby法と1DCAEによる設計が目指すところを今一度，考えるとともに，1DCAEの構成と効果を若干詳しく説明する。これらを受けて，Ashby法で使用するAshbyマップと1DCAEで使用する製品マップとの関係を，価値／機能／構造の視点で事例も交えて明らかにする。最後に，Ashby 法を実際に機械設計に適用するに当って，不可欠な拡張型Ashbyマップの考え方，作成手順を紹介する。