電気技術の発展史 第19回 第12章 1900年代前半までの発展

摘要

昭和初期における主要電力会社は36社程度で全国に散在していた．1社で1発電所のみという形態も多かった．これらのうち，東京電灯，大同電力，東邦電力，日本電力，宇治州電気の5社の勢力は大きく，5大電力会社と呼ばれていた．ほかの会社の多くは，5大電力の直系·傍系として資本の支配を受けていた．電灯の普及，工場や鉱山の電化，電鉄の普及，化学工業の発展等々につれて電力需要は伸びていった．中でも，京浜，中京，阪神が大きなロードセンターに成長すると，5大電力会社間の競争は激しいものとなり，不況や恐慌が起これば，さらに激化した．電力会社の競争は，他社の供給エリアに販売合戦を仕掛けることであり，これは，発電所，送電線の建設や直系·傍系の会社の発電所，送電線を利用することで成された．