車両運動総合シミュレータによる乗り心地の研究

摘要

東海道新幹線のブラッシュアップのためJR東海では昨年，愛知県小牧市に発足させた技術開発部に車両運動総合シミュレータを導入した．このシミュレータは鉄道車両の乗り心地を忠実に再現し，定置で繰り返し試験を行うことができる装置である．東海道新幹線では曲線半径2500mという曲線が東京から新大阪の間に約50曲線ほどあり，曲線での左右方向の定常加速度の大きさから270km/hから250km/hに速度を減速して通過している．しかし，乗り心地が非常に高品位に維持されている現在では曲線での乗り心地に関する考え方を見なおし，総合的に乗り心地を評価できる新しい考え方を構築することの意義は大きい．そこで，JR東海ではこの車両運動総合シミュレータ装置を使い曲線での乗り心地を定置で忠実に再現させ，曲線での乗り心地に関する研究を行っている．ここでは，装置の概要と取り組みについて紹介する．