マルチコプタを活用した架空配電線工事におけるロープ延線作業

摘要

UAV（Unmanned Aerial Vehicle，無人航空機）はその飛行特性を活かし，例えばダムの壁面や橋梁の裏側のような高い位置にある構造物の点検［1］［2］や広大な圃場に広がる農作物の育成状況の把握［3］［4］，土砂災害や火山活動区域のように立入が困難な現場での情報収集［5］［6］などで活躍している．UAVの市場予測の推移［7］は増加傾向を示しており，今後も様々な分野での活用が期待されている．一方，UAVの普及に伴いUAVの活用に関する事故や事件が増え社会的な問題となっている［8］．これを受けて国土交通省は2015年に航空法の一部を改正した［9］．十分な安全対策と法令知識に基づいた作業計画でのUAVの活用が求められている状況である［10］．このような状況下で，筆者らは電気設備工事におけるUAV，特に安価で手軽である小型の回転翼機であるマルチコプタ（Multi Rotor Helicopter，以下MRHと略す）の活用に取り組hでいる．電気設備工事のうち架空配電線工事はFig.1に示すように高所での作業が多く，常に作業効率と安全性向上のバランスが求められる作業である．