高分子レオロジーと成形加工CAEの基礎－その中身と周辺問題－（5）高分子成形加工用CAEの基礎：インターフェース

摘要

成形加工CAEソフトウェアの最前線に身を置く筆者としてはここ数年，成形加工CAEを取り巻く環境の変化を実感している．成形加工CAEソフトウェアが成形メーカーや金型メーカー，つまり，実際の物づくりの現場へ相次いで導入されている．その背景にはコンピュータの性能の向上とIT技術の浸透，3D-CAD (Computer Aided Design)の普及，ソフトウェアの精度·機能向上など，様々な要因が考えられる．しかし，筆者が実感しているのは成形加工CAEソフトウェアの導入を検討する経営者層のマインドの変化である．以前は大企業の解析専任者や研究者のためだけの難しくて贅沢なツールというイメージが強かったようであるが，現在は「うちもそろそろ入れてみるか」的な言葉がよく聞かれるようになった．成形加工CAEはその裾野を拡げ，物作りのツールとして定着し始めている．本稿のテーマはインターフェースである．成形加工CAEのインターフェースと聞くとほとhどの人がグラフィックユーザーインターフェース(GUI: Graphic User Interface)を思い浮かべるであろう．これはソフトウェアの顔ともいうべき部分であり，ユーザーが日々使用する部分である．GUIは人間工学に基づく操作性の向上，ユーザーからのリクエストにより，日々改良，洗練されている．インターフェースは，CADによる，製品の意匠設計，製品設計，金型設計（形状のモデラーとCAEに対するプリプロセッサー），CAEによる設計解析（CAEの制御および最適化），CAMによる金型加工において，ユーザーがコンピュータを使って，製品開発するために必要な情報をソフトに導入し結果を出力するために必須な機能である．っまり，解析をサポートするインターフェースが十分でないと設計情報の共有化も含めCAEが迅速に適用されないことにもなりかねない，重要な機能である．本講座では，GUIそのものを語ると単なるソフトの操作方法紹介になりかねないことから，基礎講座としてもう少しインターフェースの概念を広げて解説する．成形加工CAEを運用していく上で多くのユーザーが直面する様々な問題に対して，ソフトウェアベンダーがどのような取り組みをしているのかを，以下のキーワードにて説明してゆく．①3D-CADモデルとのインターフェースとその周辺技術．②メッシュ作成のインターフェースとその周辺技術．③人とのインターフェース1－入力条件．④人とのインターフェース2－解析結果の解釈．