一般座標系における平面2次元流れと河床変動の 数値シミュレーション手法に関する比較研究

摘要

一般座標系における平面2次元流れと河床変動の数値 シミュレーションについては，水工学の分野ではこれま でに数多くの研究が行われてきており，河道計画や河川 構造物の改修等における調査設計手法の一つとして国の 技術基準（建設省，1997)や各種図書（土木学会.1999:土木学会，2002)に掲載されるだけでなく，フリーソフ トが公開される（国土技術研究センター，2006 ；北海道 河川防災研究センター，2008)までに，その技術は確立 されつつある。本シミュレーションは，農業水利の分野 の中でも，頭首ェの建設や改修等に係る調査設計や性能照査において堆砂ゃ洗掘等の予測および対策の検討を 行う際に，有効な手段になると考えられる（例えば，川 島-福岡，1995;清水ら，1999;福岡ら，2004;忠津ら， 2010)оしかしながら，独自の技術の確立や水工学の分 野における研究成果の導入は十分に進hでおらず，国の 設計基準（農林水産省，2009)や各種図書(農業農村工学 会，2010а ；農業農村工学会，2010b)にも関連する記載 が少ないのが現状である。多額の費用を要する水理模型 実験の実施が近年の社会経済情勢の影響によつてИ難になりつつあることを踏まえると，頭首ェに関する調査設 計や性能照査において本シミュレーシヨンを活用する必 要性は今後高まると考えられ，農業水利の分野に本技術 を導入する意義は大きい。