農業水利施設を利用した小水力発電の潜在力評価一明治用水地区の事例一

摘要

近年，原子力発電に替わる安全でクリーンなエネルギーとして再生可能エネルギーが注目されつつあり，その中でも， 出力規模は小さいが技術で実用的な小水力発電に対する関心が高まっている.本研究では，明治用水土地改良区が管 理している頭首ェから幹線用水路末端までの農業水利施設を対象にして小水力発電候補地としての潜在力と特徴を明ら かにした.その結果，最大発電出力，年間発電量の平均値，月問発電量の最大値は，頭首ェ，工業分水ェ，チェックて の順に大きかった.また，工業分水ェでは，頭首ェおよびチェックェと比較して，灌漑期と非灌漑期の変動が大きいも のの，毎年安定した発電量が期待できるという農業用水従属型の特徴を示した.さらに，現在は年に2回程度通水して いる排泥ェに常時通水した場合，発電ポテンシャルの有効活用に加え，排水路や河川の水質改善に効果が期待された.