胃酸で発電?蓄電する普段使いできる「飲む体温計」の開発

摘要

超高齢化社会に突入しつつあるわが国の医 療費は増加の一途をたどっており，深刻な社 会的課題になっている.このような背景から， 人々が病気になることを未然に防ぎ，健康寿 命を延ばすことで医療費を削減することが望 まれている.そこで，日常生活にて体温や脈 拍，心拍，脳波などの生体情報を取得，蓄積 して分析することで，疾病の早期診断や重症 化防止につなげる取り組みがなされている.新型コロナウィルスのパンデミックもあり， 自分や家族，従業員の健康状態を日々管理す るという流れは，今後も強まっていくだろう.生体情報を取得するためのスマートウォッチ などのウェアラブルセンサの市場は近年拡大 しており，すでに当たり前の技術になりつつ ある.この次の「未来のへスケアセンサ」 の一つは，体表からでは取得できない生体情 報を体内にて収集する「飲み込み型デバイ ス」であろう.半世紀も前の映画であるが， 縮小された科学者と小型潜水艦が人間の体内 へ入り込み治療する映画「ミクロの決死圏」 に描かれたコンセプトは，小型医療デバイス への夢としていまだにある.この夢のセンサ の実現に対して開発すべき課題，およびその ビジョンに近づくためのわれわれの開発して いる「飲む体温計」について紹介する.