脳性麻痺の手関節に対する整形外科的選択的痙性コントロール手術

摘要

脳性麻痺の手関節に対する整形外科的選択的痙性コントロール（Orthopaedic Selective Spasticity-Control Surgery ：以下，OSSCS)の治療成績を調査した.対象は，2000?2012年に福岡 県立粕屋新光園で手関節のOSSCSを行つた10例で，手術時年齢は9歲6か月?46歳（平均19.8 歳），追跡期間は1年8か月?9年11か月（平均5年）であった.麻痺型は，痙縮型不全麻痺5例， 痙縮型完全麻痺2例，混合型(痙性+不随意運動)不全麻痺3例であった.術前の主訴や希望と治療 の効果，ならびに術前と調査時の関節可動域を調査した.痙縮型不全麻痺では機能障害が主訴で， 術後は全例で改善が得られた.自動背屈は，2例で約40°改善した.痙縮型完全麻痺は，手関節変 形が主訴で，術後は全例で改善した.混合型不全麻痺は，不随意運動が主訴で，術後は全例で軽減 した.術前に疼痛がみられた2例では，術後疼痛が軽減ないし消失した.麻痺のタイプを問わず， OSSCSにより機能や関節可動域の改善，不随意運動?疼痛の軽減が得られた.