身体不活動（Physical inactivity)と生活習慣病について

摘要

座りがちな生活が健康によくないことは，ヒポクラテスの時代から言われてきた.このような経験的な事実を数値として初めて示したのは，1953年，口ンドンの2階建てバスの運転手と車掌を対象とした研究である（Morrisら）.彼らは，職業上，座りがちな運転手の心疾患発症リスクが車掌に比べ高いことを指摘し，身体不活動が冠動脈疾患の危険因子であることを突き止めた.しかし，運転手と車掌の就業中のストレス度の違いが交絡要因となる可能性があるため，市の郵便事務職員（座りがち）と郵便配達人（活動的）を対象とした研究結果に基づき，身体不活動が心疾患罹患の独立した危険因子であることを再確認した.