運動不足·身体不活動（physical inactivity)と生活習慣病

摘要

現在までに，生活習慣病予防·治療における「運動」の意義に関して，生理学，分子生物学，疫学的に多くの研究がなされてきた.その結果，「運動」がもたらす効果については，メカニズムから臨床的なェビデンスに至るまで，多くのことが明らかとなってきている.例えば，生理学的な「運動」の研究を行う場合に，一般的には強度，頻度を明確にしてプロトコールが作成され，その効果が検討されてきた.ヒトにおける介入研究であれば，最大酸素摂取量の60%の運動を30分，週3回行う，などのプロトコールが考えられる.確かに，このようなプロトコ一ルを用いれば，運動の急性あるいは慢性の効果として，インスリン感受性の亢進，最大酸素摂取量の増加など，運動による生理学的な変化がとらえられるであろう.