IgA腎症病態研究の進展

摘要

IgA賢症はメサンギウム細胞へのIgA体の沈着で 定義される原発性糸球体腎炎である.原発性糸球 体腎炎の40%がIgA腎症とされ，血尿と蛋白尿を 伴う緩徐な腎機能障害の進行を呈することが多い が，30?40%の患者は10?20年の経過で末期腎不全 に至る予後不良の疾患である.そのため本邦では 指定難病の一つに認定されている.Bergerらによつ て疾患概念が提示されたIgA賢症は，その発見か ら50年が経過する現在でも詳細な病因病態は不明 で，治療法は確立されていない.本稿では，これ までに明らかにされたIgA腎症の病態にふれなが ら，特に腎炎惹起性IgAK体および関連免疫複合 体形成の産生機序に焦点をあてて解説してみたい.