サイトカインの産生制御と機能発現に関わるシグナル伝達経路：腸内細菌·ATP

摘要

自然免疫系はサイトカイン産生を中心とした生体防御システムである．自然免受容体は病原体が持つ特徴的な構造認識を基本としているが． DNA·RNA·ATPなど非病原性微生物にも，自己にも存在するような分子も認識して活性化シグナルを送ることが知られる，このため自然免疫系は分子パターンだけではなく周囲の環境全体を把握し，その文脈に応じて適切に制御されたシグナル伝達とサイトカインを誘導していると考えられる．自然免疫系によって分化·活性化が誘導される獲得免疫系も。状況に応じて異なる役割を演じる．最近，特徴あるサイトカイン発現パ夕ーンを有するUンパ球サブセットが．新たに複数種類発見され，その感染防御機構や免疫ホメオスタシス維持への関与が注目を集めている。本稿では自然免疫システムによるサイトカイン誘導機構を概説し，Th1710 V,をはじめとする新たなUンパ球サブセットの分化メカ二ズムとその疾患への関与を紹介する．