ィオン液体とそのポリマー複合体の超音波誘導変化

摘要

ィオン液体は幅広い温度域で液体状態でありながら,不揮発性で不燃性,高いィオン伝導度と優れた熱安定性など,水や有機溶媒といった従来の溶媒と大きく異なる性質を示すため,注目を集めている材料である.Wilkes らによって1992年に報告されて以来,精力的に研究が推進されており,触媒活性を示す新しい有機反応場, 難溶解性セルロースの溶媒や,高温下でも安全に使用できる電解質などさまざまな魅力的な応用が提案されている.このように大きな可能性を秘めたィオン液体であるが,ィオン液体の性質は個々に大きく異なるため,目的に合致した性質の材料を得ることが必要である.ィオン液体の性質は主に,分子内の力チオン系とアニオン系のィオン性基間の相互作用によって決まるので,これらの力チオン基とアニオン基の化学構造の組み合わせが種々異なるので,デザィナー溶媒とも呼称され,これまでに数多くの新規ィオン液体が合成され,その性質が調ベられてきた.また,実際にはィオン液体を単体で扱うことは少なく,他の溶媒との混合や,ポリマーなど他の材料との複合化も行われている.その際にはィオン液体間だけでなく,これらの添加剤とィオン液体の相互作用も材料の性質に多大な影響を及ぼしているものと考えられる.