大規模データセンタにおけるICT情報を利用する空調制御システムの開発

摘要

IoTやAI市場の急速な拡大に伴い，データセンタに代表される大規模コンピューティングシステムでは，高速·大容量処理に特化した高発熱デバイスを搭載したサーバが開発され，高性能化が進hでいる．データセンタで消費される電力は，国内の総消費電力量のおよそ2%を占めている．データセンタ内の消費電力の内訳は，サーバの演算に要するものが全体の48%ほどであり，残る50%超は機器の冷却など演算以外の要素で占められている．したがって，サーバの電力効率向上のみならず，それらを支えるデータセンタ設備の消費電力量を削減することが求められている．これに対し，冷涼な外気をデータセンタ冷却に利用する，外気冷却システムを備えたデータセンタが増加している．外気冷却により，データセンタ設備の電力量の抑制が期待できる．一方で機器の急激な発熱変動による温度上昇にも対応するため，特に高発熱サーバをもつ大規模コンピューティングシステムでは，サーバの発熱量に対して冷却過多となる冷却システムの運用が，課題となっている．この課題に対し，制御対象をモデル化し，制御対象に最適な操作量を与えるモデルベースの最適化アプローチを用いて，室内のセンサ情報から冷却システムを制御する手法が提案されている．