健康ベース曝露限界値を巡る最近の規制／ガイドラインの動向

摘要

今後の医薬品を製造するマルチパーパスプラントでは，洗浄残さの持ち越し閾値の設定は，毒性学的な評価によるとされる。現在の海外規制でそのことを明記しているのは，EU-GMPおよびPIC／S-GMP （Annex15）である。そのための具体的なツールとして健康ベース曝露限界値（Health-Based Exposure Limit：以下では，HBELと略すことがある）を用いることになる。PIC／Sでも，HBEL設定のためのガイドラインを用意している段階である。このアプローチが科学に基づいた品質リスクマネジメントの一環として提唱されて以来，国際的な調和をもって一気呵成に普及するかと思われていたのであるが，ここに来て状況が流動的になってきている。