RO膜によるヒ素除去の理輪と実情

摘要

ヒ素は，皇帝ナポレオンの毒殺に用いられたという説や，国内でも石見銀山の俗称で古くからその慢性毒性はよ〈知られている。 また，近年では和歌山のカレー事件で急性毒性を現すほど高濃度で使用された事件はまだ記憶に新しいもので，あらためてヒ素の毒性がクローズアップされているように思われる。 ヒ素は15族の元素で，われわれに非常に馴染みのある窒素やリソと同族である。 その化学的性質はリソとよく似ている。 またリソが費リン，紫リン，黒リン，赤リン，紅リソなどの同素体を作り，その内の黄リンだけが猛毒性を示すのに対し，ヒ素も灰色ヒ素，黄色ヒ素，黒色ヒ素の同素体を作る。 それらは単体のみならず，化合物すべてが猛毒性を示す。