環境に調和した高分子の新しい合成法—大環状化合物の固相開環重合による高分子量ポリマーの合成—

摘要

1990年頃から大環状化合物の熱による開環重合により高分子量のポリマーが生成することが報告されている。例えば，環状カーボネ－トオリゴマーの塩基触媒を用いた開環重合や環状スルフィドオリゴマーのラジカル的開環重合などが報告されている。これらの環状オリゴマーの開環重合において，重縮合反応では合成が難しい高分子量を有するポリマーが非常に短時間で合成できることが大きな特徴である。また，これらの開環重合は，重合過程において揮発性の副生物を伴わず，生成ポリマーの精製も容易であることなどから，環境に調和した新しい高分子合成法になるものと期待されている。