喫煙行動とGSK-3P遺伝子多型とのハプロタイプ解析

摘要

書面においてインフォームド?コンセン卜が得られた喫煙習慣を持つ者102人（平均年齢27.8±8.1歳） と比較対照の喫煙習慣を持たない健常者103人（平均年齢21.1±5.5歳）を対象とし，喫煙行動とGSK-3P遺伝 子多型との関連性を検討した.GSK-3betaの一塩基多型（SNP)のうち，先行研究で双極性障害との関連が報告さ れている-50T/Cおよび-1727A/T多型を対象とした解析の結果，-50T/C多型と喫煙行動との間に関連がみられ， 喫煙者群は非喫煙者群よりC/C型が多く, T alleleを持つ割合が有意に低かった（x~2(2) =21.01， P = 0.000027;x~2(1) = 13.28, P=0.00026).さらに，ハプロタイプ解析の結果，同SNPの組み合わせからなるハプロタイプは4種類 存在し，ハプロタイプ1(T-A)は非喫煙者群に有意に高い頻度で存在し（P = 0.00036),ハプロタイプ2 (C-A) は喫煙者群に有意に高い頻度で存在した（P=0.000053).このことから，遺伝子検査による喫煙行動の予測にお いて，同一染色体上の-50T/C SNPのC alleleを持ち，かつ-1727A/T SNPのA alleleを持つハプロタイプ2 (C-A) は，喫煙行動を引き起こしゃすい組み合わせである可能性が示唆された.なお，GSK-3beta遺伝子の上記2多型間 の連鎖不平衡の指標値はD'=0.51， r~2=0.042で，相関は低かった.