喫煙行動とセロトニン2A受容体遺伝子多型とのハプロタイプ解析

摘要

ニコチン依存の遺伝子要因解明の一助として，喫煙者を対象に，精神疾患に関連があるとされるセロトニン2A (5-HT2A)受容体遺伝子多型（102T/C,-1438A/G)と喫煙行動（ニコチン依存症）との関連を調べた. 麻布大学倫理委員会の承認を得て，書面にてィンフォームド'コンセントの得られた喫煙者101人と非喫煙者99 人のDNAを対象に，PCR-RFLP法によって2遺伝子多型を判定し，喫煙行動と5-HT2A受容体遺伝子多型との 関連性を検討した.解析の結果，5-HT2A受容体遺伝子多型におレ、て喫煙者と非喫煙者間の遺伝子型と対立遺伝 子頻度に有意差は認められなかったが，この2多型に関するハプロタィプ解析の結果，同一染色体上の対立遺伝 子の組み合わせからなるハプロタイプは4種類存在し，そのうち-1438A/G多型のG alleleをもち，かつ102T/C 多型のT alleleをもつハプロタイプ1(G-T)は健常者群よりも喫煙者群で有する割合が多く （3-4%)，統計学 的に有意であった（P く 0.05).このことから，5-HT2A受容体遺伝子領域におけるハプロタイプ1(G-T)が,喫 煙行動を引き起こしゃすい組み合わせである可能性が示唆された.