脳内報酬系の分子メカニズム

摘要

脳には快情動を生成する報酬系が備えられている.報酬系の分子メカニズムを明らかにする上で，依存性薬物の作用機序の解明が糸口になると考えられる.また，動物行動テストやゲノム科学的手法が有用である.このようなアプローチで研究を進め，以下の知見を得た.G蛋白質活性型内向き整流性カリウム(GIRK)チヤネルの阻害能を有する薬物が，覚せい剤嗜好性を抑制する.NMDA受容体チャネルGluN2Dサブュニットが， 幻覚剤であるフユンサイクリジンの効果発現において必須である.ミユーオビオイド受容体およびGIRKチヤネルの遺伝子多型が，ォピオイド感受性と関連する.