緑茶カテキンの脂質代謝改善作用

摘要

緑茶カテキンには血清コレステロール濃度低下作用、抗肥満作用、高血圧抑制作用、血糖上昇抑制作用、抗腫瘍作用など多様な生理作用が報告されてきた。これらのいくつかは動脈硬化症予防に有効と考えられる。緑茶カテキンを実験動物に摂食させると糞便へのコレステロール排泄の増加、血清および肝臓コレステロール濃度の低下を示し、その作用はガレート型カテキンで強いことが1986年に初めて報告された。我々はラット胸管リンパへの放射性コレステロールの吸収が、特にガレート型カテキン投与で顕著に低下することを示した。さらに、この作用はガレート型カテキンが胆汁酸ミセル中のコレステロール量を減少させることで起こることを明らかにした。なお、市販の緑茶飲料では加熱殺菌によりカテキンの約50％が異性化している。このような異性体を含む熱処理ガレート型カテキンでも同様の効果があり、これを用いたヒト試験においてLDL－コレステロール低下作用が観察されている。