過呼吸による脳波変化と大脳皮質ヘモグロビン動態との関連 近赤外スペクトロスコピー(NIRS)を用いた1つの研究

摘要

過呼吸(hyperventilation ;HV)による脳波変化として徐波化と振幅の増大(いわゆるbuild up)が広く知られている.今回, HVとPaCO_2の変化が原因となり.脳血管の収縮が生じ,その結果脳波の振幅増大が生ずるという仮説を立て,呼吸数,終末呼気炭酸ガス(end-tidal carbon dioxide ; ETCO_2)主濃度.近赤外スペクトロスコピー(near-infrared spectroscopy ; NIRS)による大脳皮質のへモクロビン(hemoglobin ; Hb) 濃度.脳波の振幅を計測し,各パラメータの関係からイ反説の検証を試みた.総Hb,酸化Hbの低下(脳血管の収縮)は脳波の変化より遅く起こっていた.また,各パラメータ間の相関に関する検定結果でも,ETCO_2濃度の変化に対して脳波の振幅変化は迅速に有意に反応したが.Hb濃度の低下は数分遅れて有意な影響を受けていた.これらの結果は, HVによる脳血管の収縮を脳波の振幅増大の原因とする仮説とは矛盾するものであった.