ポジトロン検査画像の集積の強さに与える呼吸移動の影響

摘要

〔目的〕胸部PET検査では,呼吸の動きにより小集積部の画像の広がりと,放射線計数値の低下が予想される.胸部の呼吸による動きを解析し,動きが小集積部の画像の広がりと,放射線計数値の強さに与える影響を明らかにすることを目的とする. 〔方法〕肺門部周辺における平静呼吸気下の動きをx線CTとMRIにより解析する.解析結果を基に呼吸による動きを自作ファントムで再現した.PET装置に自作ファントムをセットして,小集積部の大きさと動きを変化させ,小集積部の画像広がりと放射線引数値の強さを求めた. 〔結果〕肺門部周辺における平静呼吸気下の動きは,頭尾方向へ基本波で近似できる往復運動であった.平均振幅(8.2±2.8mm, n=30)による画像広がりは,頭尾方向へ6mmの広がりを示した.放射線計数値の低下は3mm￠で38%, 6mm￠で22%であった. 〔結論〕呼吸の動きにより,小集積部の放射線計数値が低下し, SUVの過小評価が考えられた.