非アルコール性脂肪性肝疾患を合併する2型糖尿病患者に対するビルダグリプチンの有用性の検討

摘要

非アルコール性脂肪性肝疾患（NAFLD)を合併する2型糖尿病患者を対象に，ビルダグ リブチンとスルホニル尿素薬（SU薬）の併用投与での有用性をSU薬倍量投与と比較した。 SU薬でHbAlc低下が不十分なNAFLDを合併する2型糖尿病患者を，SU薬にビルダグリプ チンを併用投与したV群およびSU薬を倍量投与したS群に無作為に割付けた。割付時およ び割付6力月後の血糖関連指標，脂質代謝指標，肝機能指標および腎機能指標の変化を評 価した。同時に，フィブロスキャンでの肝臓の弾性値（elasticity)を評価した。対象と なったV群11例，S群12例の患者背景に差はなかった。割付時から割付6力月後のHbAlc (NGSP値）の変化は，V群では7.42±0.18%から6.81±0.08%の有意な低下であったが，S群 では7.40±0.15%から7.30±0.12%とその低下は有意ではなかった。空腹時ィンスリンはV群 では有意に低下したが， S群では有意に増加した。また，中性脂肪，総コレステロール， LDLコレステロールおよびyGTPはV群で有意に低下したが，S群では有意な変化はなかつ た。Elasticityは両群とも低下したが，その低下度はV群で有意に大であった。本研究の結 果は，ビルダグリプチンの2型糖尿病に対する有効性とともに，NAFLDに対する治療選択肢となる可能性を示した。