造血器腫瘍に対する化学療法に続発する発熱性好中球減少症におけるtazobactam/piperacillinの有用个生に関すな検討

摘要

目的：造血器腫瘍（HM)での化学療法に続発する発熱性好中球減少症（FN)に対し て,tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC)の臨床効果を前向きに検討した。対象と方法：2008年10月から2010年9月までの間に，社会保険滋賀病院血液内科でHMに 対する化学療法を受けてFNを発症した患者23例を対象とした。FNと診断後，TAZ/ PIPC4.5gを1日3回（8時間毎），1時間かけて点滴静注した。3-5日後に解熱(37.0°C 未満）の有無を確認し，解熱が得られた場合をTAZ/PIPCによる初期治療成功例と判定し， それ以外を効果不十分例とした。結果：解析可能なFNの56ェピソ一ドにおいて，TAZ/PIPCによる初期治療成功例は51ェ ピソードであり，成功率は91.1% (51/56エピソード）であった。効果不十分例を含むTAZ/ PIPC投与開始時の体温は38.3 ±0.6°Cであり，投与4日後には37.2±0.7°C，投与終了時には 36.9±0.7°Cと有意に低下した（それぞれP<0.01)。好中球数は，TAZ/PIPC投与開始時は 113±151/muLであったが，投与終了時には3208±3439/muLまで回復した（P<0.01)。効果不 十分例の5エピソードは，抗菌薬をTAZ/PIPCから他の抗菌薬に変更することにより，解 熱が得られた。TAZ/PIPCの副作用は，初期治療により解熱が観察されたが投与9日後に 全身の皮疹を認め，TAZ/PIPCを他の抗菌薬に変更した1ェピソ一ドで認められた。結論：HMの治療経過中に発症したFNに対する初期治療薬として，TAZ/PIPCに高い臨床的有用性が認められた。