10.診断に難渋したdesmoplastic mesotheliomaの2例に学ぶ病理学的特徴と生検診断の工夫

摘要

症例1は47歳男性.石綿暴露歴あり.左上腕痛を主訴に近医受診，悪性腫瘍の骨転移が疑われ当院に紹介された.CT上右胸膜肥厚と胸水貯留を認めたため悪性胸膜中皮腫を疑い，胸水細胞診，CTガイド下針生検，左上腕骨生検を施行したが悪性所見を認めず.さらに開胸胸膜生検を施行，一部紡錘形細胞を認めたが異型性に乏しく，線維化巣と診断された.次第に全身状態が悪化し初診から10ヶ月後に永眠，剖検でdesmoplastic mesotheliomaと診断された.症例2は64歳男性.石綿暴露歴あり.右胸背部痛を主訴に近医受診，CTで右胸壁腫瘤を指摘され当院紹介.CTガイド下針生検，気管支鏡下生検で悪性所見を認めず，開胸生検を施行.2度腫瘤を迅速診断に提出するも悪性所見を認めず，浸潤した肺を一部合併切除し，desmoplastic mesotheliomaと診断された.診断に難渋した2例の病理組織像を検討し，採取の工夫について考察した.文献的考察を加えて報告する.