当科における肺癌診療の現状 ―EGFR遺伝子変異陽性及びEML4-ALK融合遺伝子陽性肺癌について―

摘要

近年，EGFR遺伝子変異，EML4-ALK融合遺伝子陽性例に対して，一次治療として分子標的薬の使用が推奨されている．【目的】当院で肺癌（非小細胞肺癌）と診断しEGFR遺伝子変異及びEML4-ALK融合遺伝子を検査した症例について，背景を陰性例も含めて後方視的に検討した．【対象】2012年12月～2014年7月に当院にてEFGR遺伝子変異を調べた239例，またEML4-ALK融合遺伝子を調べた119例【結果】EGFR遺伝子変異陽性例は49例，平均年齢は69.7歳（51-82歳），男性/女性20/29例，組織型は腺癌/非小細胞肺癌/扁平上皮癌/神経内分泌癌　45/2/1/1例，喫煙歴はあり/なし21/28例，EGFR変異はexson18 G719X/exson19 Deletions/exson20 T790M/exson21 L858R/exson21 L861Qは1/19/1/26/3であった．陽性例のうち臨床病期IIIB/IV 2/16例，術後再発は8例，その他の1例で計27例中，EGFR-TKIの使用は25例であった．1次治療で使用は21例，2次治療での使用は2例であった．1次治療でのPSは0/1/2/3/4が3/11/3/1/3，効果はCR/PR/SD/PD 1/7/12/1であった．EML4-ALK融合遺伝子陽性例は7例，平均年齢は63.4歳（46-81歳），男性/女性 5/2例，組織型は腺癌/扁平上皮癌が5/2例，喫煙歴はあり/なし6/1例，IIIB/IV/術後再発は1/2/0例であり，初回治療はALK阻害剤/EGFT-TKI/殺細胞性抗癌剤0/1/2例であった．【結語】当院では，EGFR-TKIは1次治療でPSに関わらず陽性例のほとhどで使用され，治療効果は従来報告されている通りであった．