洗い流し効果により血栓発生を抑制する'抗血栓性'人工心臓制御法の開発

摘要

近年,補助人工心臓は重症心不全症例に対して多用されるようになり,良好な臨床成績を挙げつつある。しかしながら,合併症としての血栓塞栓症の報告は後を絶たず,補助人工心臓を用いた治療法の大きな問題として認識されている。定常流補助人工心臓の臨床治験では,血栓塞栓症の発症が報告されているが,この際に,血液ポンプや送脱血管を含むシステム内部には全く血栓が発生しておらず,血栓の発生ソースが左垂心尖部に挿入された脱血管周囲にあり,この血栓が脱血管内に引き込まれることによって血栓塞栓症を発症した可能性が示唆されている.