臓器移植法への道

摘要

角膜移植は1928年にソビエト（当時）のフィラトフ医師によって世界で初めて行われ，失明者に対する唯一の治療法の可能性を示した。そして，1949年， 岩手医科大学の今泉亀撤教授により日本で第一例目の角膜移植が行われた。そして，1958年2月，角膜移植法が成立した。角膜の手術代は，法律のおかげで，健康保険を使えば5,000 円以内で済むようになった。その後，1980年3月に， 「角膜及び腎臓の移植に関する法律」が施行される。これは，角膜移植術による視力障害者の視力の回復および腎臓移植術による腎臓機能障害者に対する腎臓機能の付与に資するため，死体から眼球または腎臓を摘出すること等につき必要な事項を規定したもので，政府提案として提出され承認された。1997年7月16日の「臓器の移植に関する法律」の成立をもって廃止された。