加藤和暢：経済地理学再考——経済循環の「空間的組織化」論による統合

摘要

「難しい」.本書の読者の多くが最初に感じる読.後感であろう.これは本書が「経済地理学が.その方法はもとより目標についてさえ『定説』と呼べるものを有していない現実」の中で，それを「何とかして打開したいと願う」(p.i)著者の「模索」や「試行」であり，「30余年に渡って繰り返してきた悪戦苦闘の経過報告」(p. ii)ともとらえうる「『論文集』」 (p.4)だからである.その読み解きが一筋緦にはいかないのは当然であるともいえよう.