大腿義足装着と模擬した大腿義足装着下での皮膚の生理的変化に関する研究

摘要

近年、義足歩行の分析や義肢部品の機能向上を目的として義足の適合に関する様々な調査研究が行われるようになった。しかし、義足装着部の衛生面に関する研究はほとhど行われていなかった。義足装着部の衛生環境は、長期間に及ぶ義足利用に大きな影響を及ぼすことが考えられるため、今後はより一層の調査研究が必要になる。このような背景から、本研究では大腿義足装着者のソケット装着部皮膚と大腿義足非切断側の皮膚、健常者を対象とした模擬大腿義足装着部皮膚と模擬大腿義足非装着部皮膚に対しての生理的変化について分析を行った。その結果、大腿義足非切断側皮膚に比べ、大腿義足装着部皮膚の皮膚pH、皮膚湿潤度が大きく異なることが分かった。具体的には、大腿義足装着部皮膚が大腿義足非切断側皮膚より高いことを確認した。さらに、模擬大腿義足装着部皮膚では、装着時間や日数によるが、皮膚の生理的変化によって大腿義足装着部の皮膚pHと皮膚湿潤度が大腿義足装着部皮膚と同様な皮膚環境になることが分かった。