船舶の排ガス（SO_x）規制と燃料および潤滑油の動向

摘要

IMO（International Maritime Organization：国際海事機関）は，世界の一般海域における船舶用燃料油の硫黄分含有率の上限を2020年1月1日以降，現行の3.5mass%から0.5mass%に引き下げることを決定した．船舶用燃料硫黄分規制については，MARPOL条約（船舶による海洋汚染防止の為の条約）の2008年改正により，附属書VI（船舶からの大気汚染防止）で2010年以降順次強化されることが決定され，対象海域をECA（Emission Control Area：排出規制海域）と一般海域に区分しており，ECAではすでに2015年1月より燃料硫黄分が0.1%以下に規定されている（図1）．2020年の一般海域での燃料硫黄分規制強化により，世界全海域において船舶用低硫黄燃料が普及することとなり，海運業界への影響は計り知れない．