有機エレクトロニクスデバイス製造工程に向けたACコロナ放電型イオナイザの減圧下での除電特性

摘要

クリーンルーム内の電子デバイス製造工程では，しばしば静電気帯電による障害が問題となり，除電装置としてコロナ放電型イオナイザが広く使用されている.コロナ放電型イオナイザは針状電極（エミッタ）に高電圧を印加して，コロナ放電を起こす．コロナ放電により作業雰囲気の気体分子がイオン化され，その正負のイオンを用いて除電を行う．一方，近年実用化が進展する有機EL等の製造工程では，空気中に含まれる酸素が化学的に活性で有機材料を劣化させるため，作業雰囲気に窒素などの不活性ガスか，もしくは減圧雰囲気を使用する必要がある．しかし，窒素雰囲気でコロナ放電を起こすと正負のイオンバランスが崩れる．これは窒素が電子親和力を持たず，負イオンを形成しないため，コロナ放電から正イオンと電子が発生するためである．正イオンと電子は移動度が大きく異なるため，正負のイオンバランスが崩れ，被除電物の電位は大きく負に帯電する．