鉛系に匹敵する特性をもつ、「非鉛圧電体薄膜」の開発に成功--東工大ーキャノンー上智大グループ

摘要

東京工業大学総合理工学研究科の舟窪浩准教授とキヤノン、上智大学理工学部の内田寛准教授らの研究グループは、毒性元素の鉛を使わずに、過去最高の使用可能温度と鉛系圧電体に匹敵する特性を有する圧電体薄膜の開発に成功した。しかも、開発した圧電体薄膜は半導体に悪影響を及ぼすナトリウムやカリウムも含有しないため、シリコンを用いたマイクロデバイス（MEMS）にも使用可能である。従来、高圧下でしか合成できなかった亜鉛酸チタン酸ビスマスを、他のビスマス含有ベロブスカイトと固溶させることで安定化することに成功した。半導体プロセスへの圧電体組み込みだけでなく、鉛を含まないため特に安全性が重視される医療分野への展開も期待できるなど、圧電MEMSの応用分野を飛躍的に広げる可能性が見込まれている。