生活習慣病予防に資するポリフエノールの食品機能学的研究

摘要

ポリフエノールは生活習慣病をはじめとする様々な疾病の予防、改善に関わる機能性を究揮すること が期待されている。本稿では，フラボノィドによる薬物代謝系調節作用機構と肥満、高血糖予防作用機構に ついて，われわれの知見を中心に解説する。薬物代謝系調節作用機構の鍵分子であるァリール炭化水素受容体（AhR)に対して，フラボノイドは，そのサブクラスの構造に依存した抑制効果を示す。特に，フラボン とフラボノールは，AhRのアンタゴニストとして作用することで，化学発がh物質による薬物代謝酵素の 発現誘導を抑制する。肥満予防効果の鍵分子は.さまざまな組織でエネルギーセンサーとして働く AMP活 性化プロテインキナーゼ（AMPK)であり.一方で，高血糖予防効果の鍵分子はグルコース輸送担体4型 (GLUT4)である。また，筋肉細胞においてはAMPKがGLUT4の細胞膜移行を促進する。これらの鍵分子 に対するポリフエノールの作用例を紹介する。