新しい緑茶用品種「せいめい」.-—抹茶、粉末茶に適した日本茶業の戦略品種I

摘要

日本の茶業は、茶価の低迷、生産量の減少および廃園の増加など厳しい状況が続いています。栽培面積の約^%を占める主要品種の「やぶきた」は、これまで日本茶業を支えてきました。「やぶきた」の栽培面積の拡大に伴い、品質向上と均一化、大量生産と大量流通が可能となり、昭和^年にはS万トンを超える荒茶生産量に達しました。しかし、単一栽培による病害虫の多発、高樹齢茶園の増加による減収や品質低下、多様性に欠ける商品構成が現在の消費者二—ズと合致しない状況になっています。その一方で、抹茶や粉末茶の生産量は年々増加し、この7年で約1.4倍に増加しています(桑原秀樹氏推計値より)。抹茶や粉末茶は、主に食品加ェ原料として、これからも国内外の需要の増加が見込まれることから、抹茶や粉末茶に適した緑茶品種の育成が求められてきました。抹茶や粉末茶の原料は収穫前2週間以上被覆栽培を行った新芽を用いて生産されます。そのため、抹茶や粉末茶に適した品種は、被覆適性があること、需要増加に対応するため、栽培適地が広いことが重要となります。そこで、農研機構は、抹茶や粉末茶用の被覆栽培時の収量、色合い、滋味(旨味など)，に優れ、栽培適地が広い、緑茶用品種「せいめい」を育成しました。