消費者に便利な美味しい「乾いた食品」を造る乾燥プロセスの基礎知識

摘要

穀物、鰹節.ふりかけ、干魚などは、伝統的な乾燥法により長期貯蔵が可能となった食品の典型例である。このように、農産物や食品を乾燥する本来の目的は貯蔵性を高めることにあった。これらに対し、カップラーメン、インスタントコ—ヒ—ゃス—プ類、スキムミルクなどは、貯蔵性の他に調理の簡便性を向上させたもので、多忙な我々の日常生活に欠かせない食品となっている。また、食品の大規模生産であっても、家庭内の調理であっても、加熱による材料内の水分移動のメカニズムを統一的に説明できる理論や解析法は存在しない。このため、農産加工、食品工学、化学工学、家政学などの分野では、個々の熱的操作に伴う水分移動現象を解明するための研究が進められている。本稿では、食品乾燥に必要な基礎知識、特に材料内に含まれる水の存在状態とその移動現象について、フリ—ズ.ドライと称されている乾燥法や日常的に繰り返し経験している「洗濯物の乾燥」などを題材にして分かりやすく解説する.