日本から発信するエネルギー革新省エネ型炭素固定とe-バイオの融合特集によせて

摘要

本特集は，2012年10月26日（金）に日本生物工学会 大会中に開催された，上記シンポジウムの纏め的なもの となる.生物のすべての代謝は，酸化還元反応や電子授受反応 が関わるエネルギー獲得反応を基盤として機能してい る.そのため，物質生産のために生物の代謝を有効利用 しょうとする時，あるいは，環境問題の解決のために炭 素循環を健全化しようとする時，鍵となっている酸化還 元反応や電子授受反応を詳細に理解し，解析，改良する ことがとても重要となる.このような考え方のもと，上 記シンポジゥムでは，生物代謝と電気、電子の接点を見 つめ，その学術的基盤を明らかにした後，生物代謝，特 に炭素固定系や中央代謝を電子授受の視点から捉え，応 用可能性を探っている研究事例を紹介し，さらに，筆者 らがe-バイオとして提案している研究領域の将来像に ついても討論した.シンポジウムを完全に再現することは不可能ではあるが，また議論の対象となつた発表その ものをスライドから文書へと形を変えざるを得ないもの の，生物工学会会員の皆さまに広くお知らせする価値が (少しは）あろう，ということが認められ，今回の特集 となった次第である.