最少容量ガラス化法の野外での処理条件の検討と移植試験

摘要

生産現場でウシ胚のガラス化保存の利用性を高めることを目的に，ガラス化処理条件の検討と移植試験を実施した.実験1では，複数の胚をまとめて処理するため，15%(v/v)凍結保護物質からなる平衡液への浸漬時間を検討した.実験2では，凍結保護物質をス卜ロ一内で1段階希釈するためのシュクロ一ス浸漬条件を検討した.上記条件を用いて，ガラス化一加温した生体回収胚の受胎率をダイレク卜凍結胚や，非凍結胚のそれらと比較した（実験3).その結果，平衡液に25-30分浸漬してもガラス化胚の生存性は低下せず，0.3mol/Lシュクロースの加温液に30分浸漬してもガラス化胚の生存性は保持された.ダイレク卜凍結したCode1.5-2胚の受胎率は有意（PC0.01)に低下したが，ガラス化胚の受胎率は非凍結胚のそれと同等であったことから，最少容量ガラス化法の平衡時間とス卜ロ一内1段階処理の改変が可能で，凍結耐性が低い胚の保存方法として生産現場で利用可能と考えられる.