新たな「農林水産研究基本計画」で示された家畜繁殖研究の方向性とそれを実施する上での問題点

摘要

平成26年度受精卵移植関連新技術全国会議 (第19回）において、開業人工授精師，陣野原 進氏（福島県）をコメンテーターとして招き、牛 繁殖^!場の話を伺った。「現場で見ていると、農 家は、意欲はある力、研究者や技術者とは違う方 向を向いている。そのため、進hだ技術は、現場 では使われていないことが多い。技術を活かすた めに時間や手間がかかると、農家は、その技術の 導入をあきらめてしまう。しかし、体外受精由来 産子のモニター事業では、生まれてきた和牛子牛 が高値で売れることを知った農家の目の色が変わ り、すごく技術を欲しがるようになった。農家の 関心は、『いかに収益にかえる力、』だ。『生産で生 きている人』と『技術で生きている人』とは、か み合わない。結局、階層が違う」と陣野原氏は述 ベた。新たな「農林水産研究基本計画''（平成17 年度から5年ごとに策定）」は、「生産現場からの 意見に基づく研究開発やその成果の改良が十分で はなかった」など、前の研究基本計画の反省に立 脚し、「生産現場が直面する課題を速やかに解決 するための研究開発」を最優先課題として、平成 27年3月31日に策定された。本稿では、この研 究基本計画に示された家畜繁殖研究の方向性とそ れを実施する上での問題点を解説する。