日本より再発見されたLysurus gardneri（スッポンタケ目，アカカゴタケ科）について

摘要

筆者は日本産腹菌類（広義）の分類学的研究の材料収集中に，東京都豊島区において，スッポンタケ目アカカゴタケ科に属するツマミタケLysurus morusin（L．：Pers．）Fr．に類似した菌を発見，採集した．この菌について分類学的検討をおこなった結果，CokerandCouch（1928），Cunningham（1944），Dring（1980）らの記載に基づきL. gardneri Berk．と同定した．本種はこれまでに，世界的に広く分布することが知られているいまた本種については，吉見，本郷（1989）がL. gardneriのシノニムであるAnthurus gardnen（Burt）Berkの学名で日本にも分布することをはじめて記述し，兵庫県と香川県で採集された標本に基づきツクシタケの和名を与えた．しかし，吉見，本郷（1989）の図鑑には記載文，子実体の図，検鏡図等は掲載されていない．さらに，吉見，本郷（1989）以降，L. gardneriの日本産標本を記載，図示した報告や採集記録もないい　 そこで本報告では，L. gardneriの東京都産標本について記載，描画をおこない，形態的に類似する種との相違点を示したい　 なお，本文中に引用した標本は千葉県立中央博物館（CBM）に収蔵されている．