「家畜を護り，食卓を守る」 -越境性家畜感染症による被害最小化を目指して-

摘要

豚肉が食卓から消える.「とhかつ」「ハム」「ソー セージ」が食べられなくなる.そhな日が来たらどう思うだろうか.2018年夏，世界の豚の半分が飼育 されている中国に，致死的な豚の感染症である「ァ フリカ豚コレラ」が初めて発生し，その後，猛威を 奮っている.「アフリカ豚コレラ」は，人への感染 による被害はないが，豚にとっては脅威の感染症だ. 家畜に壊滅的な損害を与える感染症が，グローバル 化の流れの中で，容易に国境を越えて甚大な被害を もたらすようになつてきた.本稿では，「アフリカ 腺コレラ」のような，家畜にとって脅威となる越境 性感染症から，家畜を護ることが，豚肉などの畜産 物の安定的な供給を支え，豊かな食材で彩られる食 卓を守っている，ということ，また，人への感染被 害がなくても，重篤な家畜の感染症は食糧生産の脅 威となり，生産現場のみならず，複合的な災害をもたらすこと，さらにその制御には消費者を含めた多 くの人の理解と協力が不可欠であるというポイントで，将来に向けて持続可能な畜産を考えるための 話題を提供する.