『水田作経営の構造と管理』

摘要

1998年という年ほ，わが国のコメと稲作の歴史にとつて永く記録されることになるであろう．この年は史上空前のコメ生産調整（減反）が実施され，12月にほWTOに対してコメ関税化への切り替えを通告したからである．9月には「食料、農業、農村基本問題調査会答申」が出され，通常国会でいよいよ新基本法が登場することになる．いずれもこれまでの流れを大きく変革する動きであり，市場原理を通じた産地、農家間競争の促進と，他方では経営安定対策の導入により，生産者はリスクか安定かの選択を迫られることになった.　 てれら一連の政策は，11世紀に向かうわが国農業，とりわけ稲作にとって重大な構造転換を意味しており，いよいよ本格的な選別淘汰が始まることを示している．これから生き残り，勝ち残っていくためには,　 農業経営者としてのまさに存亡を賭けたサバイバル時代の幕開けとなる．