両トレーニングセンタ」におけるウマヘルペスウイルス1型および4型特異的ELISA法を用いた血清疫学調査

摘要

ウマヘルペスウイルス（EHV）抗原に対する補体結合反応（CF）およびgG-ELISA法を用いで、1998年から2002年にかけて美浦、栗東両トレーニングセンター（トレセン）に在厩した競走馬におけるウマヘルペスウイルス1型（EHV-1）および4型（EHV-4）の血清疫学調査を行つた。調査には春および秋の定期検査（定検）時の血清および冬季に発熱しペア血清の得られた馬（冬季発熱馬）の血清を用いた。 定検時血清の調査では、EHVワクチン未接種群のEHV-1自然感染率は概ね70％以上であつた。 また栗東トレセンではワクチン未接種群の感染率が非常に高い年には接種群の感染率が低い傾向にあった。 EHV-4感染馬も認められたが少頭数であった。 以上の成績より、両トレセンにおける冬季のEHV感染率は高くそのほとhどがEHV-1感染であることが示された。 感染を防御する効果は低いど考えられている現行ワクチンであるが、非常に感染率の高い年には感染防御にも効果を発揮している可能性が示唆された。 冬季発熱馬の調査では、流行のピーク期は対象年により異なっていることが示された。 また、冬季発熱馬のうち流行期を初めで経験する年明け3歳馬について調査したどころ、発症馬の多くは、入晦時にEHVの抗体調査を実施しでいない9月以前に入厩したためワクチン未接種であつた馬、あるいは流行朋である年明けに入厩し、抗体調査の結果ワクチン接種の必要が無いと判断された馬であった。 以上の成績から、EHV-1感染による被害を最小限に抑えるためには、現在両トレセンにおいて10月以降実用している抗体検査を9月以、前より実施し、年内に入厩する日引こ対しては抗体検査成績をもとにワクチン接種の有無を決完することが推奨される。 さらに、EHV-1流行期に新たに入厩する年明け3歳馬には全頭にワクチン接種を実施することが推奨される。